今春の高校入試の概況(1)(都立編①)

近年の進路状況の傾向

 2025年度(令和7年度)の公立中学校卒業生のうち、都内公立高校全日制への進学率は前年度より0.3ポイント減の50.7%(都内公立全日制進学者数38,780人)で、都立離れの現状は昨年同様です。その一方、私立高全日制進学率は31.6%(都内私立全日制進学者数25,698人)で前年度から0.8ポイント増となりました。拡大した私立授業料無償化政策等の影響による「私立志向」の定着が如実に表れています。
 また、通信制志向は強まっており、前年度から0.2ポイント増の7.1%(進学者数5,617人)、進学者全体の合計は年によって増減がありますが、それにもかかわらず通信制については実数・割合ともに年々増加しています。全国的に見ても、通信制高校の開校、既存の私立高における通信制課程の新設、既存の通信制高校における通学キャンパスの新設等、通信制高校をめぐる動きは依然活発です。

校長会志望予定調査

 2025(令和7)年12月11日時点での校長会志望予定調査によると、全日制の都立高校志望倍率は1.12倍となり前年度(1.15倍)からさらに下がりました。近年は1.22倍~1.25倍で行き来していましたが、ついに1.1倍台前半にまで落ち込んでしまいました。男女合同の選抜である普通科は1.19倍で、こちらもついに1.20倍の大台を割る結果となりました。
 都立高校の中で志望倍率がやや持ち直したのは、進学指導特別推進校(新宿、小山台、駒場など)や、総合学科の一部(世田谷総合、葛飾総合など)です。一方で、専門学科全体では0.87倍(前年度0.91倍)まで落ち込み、近年では例を見ない低倍率を記録しました。商業科は前年度の微減に続き、今年度も低空飛行が続いています。チャレンジスクールは前年度に新設された「立川緑」をはじめ、不登校等によって能力や適性を生かす機会に恵まれなかった生徒を受け入れる需要が依然として高く、多くの志願者を集めています。

都立推薦試験

 ① 出願傾向
 特別推薦を含む推薦入試の倍率は2.19倍で、過去最低だった前年度(2.28倍)をさらに下回り、過去30年間の中で最も低い倍率を2年連続で更新しました。生徒数に対する応募率は26.4%まで下落しており、都立推薦入試を利用する生徒は「4人に1人」にまで減少しています。これも前年度に引き続き、国や都の就学支援金拡充に伴う私立志向の影響を強く受けた形です。

② 高倍率になった高校
 普通科(単位制・コース含む)でもっとも高い倍率になったのは、新宿で5.78倍でした。新宿は前年度(5.31倍)からさらに応募者を増やし、単位制普通科のみならず普通科全体でもトップに立ち、圧倒的な人気を維持しています。次いで東大和南4.73倍、板橋4.66倍、鷺宮4.29倍、日野3.92倍、足立3.86倍、竹台3.81倍と続いています。前年度上位だった三田や豊島、駒場などは応募者を減らし、顔ぶれに変化が見られました。また、進学指導重点校の中では青山が3.38倍でトップ、次いで立川3.00倍、戸山2.91倍、日比谷2.89倍の順となりました。総合学科では、晴海総合が3.50倍でトップとなり、杉並総合(1.18倍に急落)を大きく引き離しました。
 専門学科では、例年通り総合芸術「美術」が5.04倍でトップ、次いで工芸「デザイン」4.30倍、赤羽北桜「調理」3.80倍、工芸「インテリア」3.80倍、総合芸術「舞台表現」3.75倍、駒場「保健体育」3.58倍、園芸「動物」3.20倍、農業「食物」3.20倍と続きました。総合芸術の美術や工芸のデザイン・グラフィックアーツなどは、私立志向の波に飲まれることなく、毎年不動の高倍率を維持しています。

③ 推薦合格者の状況
 全日制の推薦合格率は、全体の応募倍率が下がった影響もあり、前年度の43.2%と同等以上の緩やかな水準(40%台半ば)で推移しました。
 普通科や単位制普通科でも合格率の緩和傾向が見られる一方、主要な専門学科(農業科1.78倍、ビジネスコミュニケーション科1.40倍、科学技術科1.07倍)では軒並みこの5年間で最低倍率を記録したため、推薦入試としては非常に高い合格率(広き門)となっています。